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失敗しない外壁塗装の塗料の選び方。

外壁塗装の塗料の種類と選び方

 

今回は戸建て住宅の外壁塗装に使われる塗料の種類と特徴についてです。

戸建て住宅の外壁塗装に使われる塗料には、非常に多くの種類があります。幅広く使われている手ごろな価格の塗料もあれば、高性能で耐久性の高い塗料もあります。どの塗料を選べば良いかを判断するのは、なかなか難しいことです。そこで、今回は戸建て住宅の外壁塗装を成功させるために、塗料の種類や特徴について分かりやすくお伝えします。

結論から言うと、塗料の性能や価格を理解して、建物の状態や優先するべきポイントに合った塗料を選ぶことが大切です。

 

 

外壁塗装はリフォーム工事で最も不具合が出やすい部位!?

外壁塗装の塗料の話に入る前に、外壁塗装工事がリフォーム工事の中でも特に気を付けてほしい工事であることをお伝えする資料をご紹介します。

住宅形式別にみる主な不具合部位

 

引用:公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅形式別にみる主な不具合部位(リフォーム)」

 

上記の資料にもあるように、外壁や屋根に関する工事はリフォーム工事の中でも特に問題が起こりやすい部位です。外壁塗装は見た目をきれいにするだけでなく、暮らしを守る役割があります。塗装する部位の材質や建物の状況によって下地処理が必要だったり、適している材料が違ったりすます。そのためには、施工業者の確かな技術はもちろんのこと、施工する建物の状況把握や適切な材料の選択が必要になるのです。

 

 

塗装の性能を決める合成樹脂による塗料の分類

建築に使われる塗料は、主に顔料、添加剤、合成樹脂の3つの成分で構成されています。顔料には色を付ける役割があり、添加剤には塗料の粘性等を整える役割があります。そして、合成樹脂にはいくつかの種類があり、塗膜の性能に大きく影響します。塗料を樹脂別に見ると、代表的なものとして4つあげることができます。樹脂別に分けた塗料の特徴を表にまとめてみます。

 

合成樹脂の種類 特徴 耐用年数の目安
アクリル系塗料 安価で幅広く使われていましたが、紫外線に弱く、他の材料に比べて耐久性が劣ります。

現在では使用されることが少なくなりました。

5年~7年
ウレタン系塗料 比較的安価で、防水性能に優れており、アクリル系塗料よりも耐久性があります。

密着性が高く、柔軟性のある材料なので、様々な部位で使用することができます。

他の材料にも言えることですが、紫外線によって変色することがあります。

7年~10年
シリコン系塗料 耐候性があり、耐久性に優れた材料です。ウレタン系塗料よりも価格が高めですが、耐用年数は比較的長めです。

安定した性質の材料で、汚れにくく、撥水性が高い反面、付着力が弱く、密着性が低いため施工の知識と技術が必要な材料です。

7年~12年
フッ素系塗料 耐候性が高く、耐久性に最も優れており、防水性能も高い材料です。

耐摩耗性、耐熱性が高いため、紫外線等から建物を守ってくれます。

高性能の反面、他の材料に比べて価格は高めです。

10年~15年

 

耐用年数が長い順番だとフッ素系塗料、シリコン系塗料、ウレタン系塗料、アクリル系塗料の順になりますが、価格の安い順番だと反対になります。

こまめに塗り替えをする場合や一時的な価格を優先するのであれば、耐用年数が短くても価格の安い塗料を採用するのも良い選択方法のひとつです。反対に、外壁塗装を行う度に足場をかけたりする費用等が掛かることもあるため、塗料自体の価格が多少高くても耐用年数が長い塗料を選択した方が、長い目で見て経済的な場合もあります。

 

 

水性塗料と溶剤塗料(油性塗料)の違いとは

塗料の種類は合成樹脂の違いだけでなく、希釈剤の違いによって分類することもできます。

希釈剤とは、塗料成分を薄めて粘度を調整する材料のことです。塗料の成分には、色を付ける顔料と粘性を整える添加剤、塗膜性能を形成する合成樹脂があることをお話しましたが、塗料自体は粘度が高く、そのままでは塗ることができません。そこで、塗料を薄めて粘度を下げる希釈剤という材料を使用します。この希釈剤種類によっても塗料は分類されます。

希釈剤の種類には、水とシンナーなどの有機溶剤があり、前者を水性塗料、後者を溶剤塗料(油性塗料)と言います。

どちらの希釈剤も塗料を薄めて粘度を調整する機能があり、塗装後に蒸発します。塗装が乾燥して希釈剤が蒸発すると合成樹脂による塗膜層が形成されます。

水性塗料は、希釈剤が水のためシックハウス症候群の原因のひとつとされる揮発性有機化合物(VOC)の排出が少なく、健康にも環境にも優しいのが特徴です。また、引火の危険性も低いため保管や管理面においても優れています。少し前までは溶剤塗料(油性塗料)に比べて耐久性の低さが指摘されていたこともありましたが、現在では溶剤塗料(油性塗料)に引けを取らない性能になっています。シンナーのような溶剤特有の臭いが少なく、施工時の周囲への影響も抑えられます。その反面、水性塗料の希釈剤は水であるため、一定の温度にならないと蒸発せず、時期によっては塗料が固まりにくいという難点があります。また、水性塗料はアルミ、ステンレス、トタン等の金属部分の下地には密着しにくい性質のため、使用できる部位が限られることがあります。

溶剤塗料(油性塗料)は、乾燥が早く安定した品質の塗膜を形成でき、耐久性が高いのが特徴です。現在では水性塗料の開発が進み、品質に大きな差はありませんが、水性塗料の品質が向上するまでは溶剤塗料(油性塗料)が一般的に普及していました。低温でも乾燥しやすく、塗膜形成が環境に左右されにくいため、工期を予定通りに進めやすいのもメリットのひとつです。また、密着性が高く、水性塗料では下塗り工程が必要になるようなアルミ、ステンレス、トタン等の金属部分の下地にも施工ができます。一方で、シンナーなどの有機溶剤特有の臭いがあり、施工時に周囲への気遣いが必要な場合があります。また、溶剤塗料(油性塗料)に含まれる有機溶剤は、揮発性有機化合物(VOC)が排出されるため健康や環境への被害が心配されることや、引火の危険性があるため取り扱い方法に十分気を付けなければいけない点がデメリットとしてあげられます。

 

弱溶剤塗料と強溶剤塗料

溶剤塗料は希釈剤として使用されている有機溶剤の違いによって、さらに弱溶剤塗料と強溶剤塗料に分類されます。弱溶剤塗料に使用されている有機溶剤は、塗料専用に開発された溶剤で比較的臭いが少なく、健康や環境への被害も抑えられています。弱溶剤塗料は、溶剤塗料(油性塗料)の良いところである耐久性や施工性と安全性を併せ持った優れた材料です。強溶剤塗料に使用されている有機溶剤には、アクリルシンナー、ウレタンシンナー、ラッカーシンナー、エポキシシンナー等があり、塗料を溶かす溶解力の強い溶剤が含まれています。耐久性や施工性等の溶剤塗料(油性塗料)のメリットは最も期待できますが、健康や環境への影響に注意が必要な塗料です。

 

水性塗料と弱溶剤塗料、強溶剤塗料の比較

水性塗料と強溶剤塗料、弱溶剤塗料の特徴を表にまとめますので参考にしてください。

水性塗料 溶剤塗料(油性塗料)
弱溶剤塗料 強溶剤塗料
耐久性
弱溶剤塗料に引けをとらない

優れている

最も優れている
施工性
金属等、施工に不向きな部位がある

概ねの部位に施工可能

金属を含むほとんどの部位に施工可能
塗膜形成
気温に左右される

乾き易く
安定している

最も乾き易く
安定している
健康・環境への影響デメリット
健康や環境への被害を最小限に抑えられる

健康や環境への被害をある程度抑えられる

健康や環境への被害に注意が必要

表2:水性塗料と油性塗料のメリット・デメリット

最近の戸建て住宅の塗装では水性塗料か弱溶剤塗料がよく使われる傾向がありますが、水性塗料では施工できない部位や耐用年数を長く持たせたい部位に溶剤塗料(油性塗料)を使用する等、下地や要望に合わせて複数の塗料を組み合わせて使用するのも良い方法かもしれません。どの塗料にもメリットとデメリットがあり、どれが一番優れた塗料だとは一概に言えませんが、施工する部位の材質や状況、優先したいポイント等に合った塗料を選択することが最も良い塗料の選択になるはずです。

 

長い目で見ると高い材料の方が安くなることも

国土交通省の所管する公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターに寄せられる相談の中には、建物の現状把握ができていなかったり、十分な下地処理ができていなかったりしたことが原因で、外壁塗装工事の引き渡しから1年足らずで不具合が発生したという話もあります。

外壁塗装を計画する場合は、要望やメンテナンスに関する計画を依頼する業者等にしっかりと伝えて、打ち合わせや調査に基づいた最良のプランを提案してもらうことをお勧めする。

たとえば、建物のライフサイクルコストを考えると、価格の安い塗料を選択するのも良い方法のひとつですが、耐久性の高い塗料や機能性の高い塗料を選んだ方が、長い目で見ると快適で経済的なケースもよくあることです。

 

 

まとめ

外観の美しさはもちろんのこと、価格やメンテナンス性、快適性などのお住まいの重視するポイントはどこなのか、建物をどの位長持ちさせたいか等を明確にして、適切な塗料を選択することが大切です。

 

まずは、専門知識のある業者に塗装する建物の状態を見てもらい、重視したいポイントや要望等を伝えて、プランを提案してもらうと良いでしょう。その時に、塗料や工法、金額についての説明をしっかり聞いてみてください。話を聞いてくれなかったり、一側面だけの安易な判断で提案をしてきたりする相手であれば、相談先を再検討することも大切です。塗料も相談先も最適な選択をして、大切なお住まいの外壁塗装を成功させてください。

 

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